奈良⇔山形

絵描き、三瀬夏之介の日々諸々。
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日々。
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    9月入学の検討なんてニュースが聞こえる中、東北芸工大の授業が6月末まですべてリモート授業で行うことが決まった。6月末以降は段階的に判断していくが、社会状況によっては前期すべてが、あるいは後期までリモートが続くかもしれないし、部分的に解除していくことができるかもしれない。とにかく今は我慢してできることから粛々と準備する日々。

    ただ、この状況がもたらす福音もある。長くなるけど状況のメモとして書いておこう。

     

    例えばリモート会議やリモート飲み会。

    議事進行系の会議についてはこれからもZOOM会議でいいと思う。これまでの経験値で了承できることはして、疑問があればコメントを付け加え、無駄な寄り道はなく、その場に居なくとも合理的に議題が進んでいく。それに対して新しい物事を考えていくクリエイティブな会議には向いてないな。顔色を伺うことが難しく、場の熱気によるグルーヴ、雑談や寄り道と思いきや生まれる天啓のようなひらめき、創発、そういった解像度の高い現場感といったものとは程遠いメディアだ。

    ZOOM飲み会というものもやってみた。辺境に住む者としては、コストゼロで遠隔に住む友人たちと気軽に語り合えることはとてもうれしい。すぐに慣れるだろうけど、ツイッターやユーストが始まった頃のような高揚感がある。

    授業においても交通費がかからないということで、今後のゼミ間交流や特別講師招聘といった部分で多くの可能性がある。

    まぁ、しかし早くみんなと対面で乾杯したいもんだ。

     

    授業においては所属する日本画コースと大学院授業での試行錯誤が続く。

    大学院のゼミ生5名とはZOOM・スラック・ラインで繋がるようにした。

    ラインは連絡事項や雑談などに使い、ZOOMは大学院レベルの少人数対話形式のゼミに割と向いている。そこで出た話題や参考文献、先行事例などをリアルタイムでスラックにどんどんみんなで放り込んでいく。研究計画や作品画像、レビューなどの情報を各チャンネルに貯めていき、全員で共有、後で戻ることもできる。ゼミの後は研究日報を提出してもらい、あとでゆっくりとコメントを加えたり参考情報をスレッドに添付していく。このやり方は対面授業が戻ったとしても続けていきたい。

    ちなみに芸工大名物のレビューは今のところZOOMで開催しようという予定。研究系のレビューにはバッチリはまりそうだし、ビッグゲストも呼べるよね。

    問題は作品展示系のレビューだけど、もともと作品制作は研究展開であると強く打ち出してきた大学院なので、今年度に限っては作品展示系の学生も学会形式の研究発表をしてもらう。作品についてのレビューは修了制作展であらためて行い修了認定要件とすることになる。

    来年2月の新型コロナの状況は如何に…

     

    日本画コースはこれまで学年、授業に関わらず5名の教員でまんべんなく見てきたのだが、今年度に限ってはまず主担当の授業について責任を持ってリモート化に取り組んでいる。

    今年度から日本画コースは「日本画ルネサンス」を宣言して動き出す初年度だった。その出鼻をコロナにくじかれた感はあるが、この状況を逆手にとって1年生には画力、筆法を鍛える基礎課題を叩き込む。墨と筆と紙があればどこでもクリエイティブなイメージを生み出すことができる力。我らが金子朋樹先生と若き財田翔悟先生が準備に余念がない。

    僕の母校、京都芸大(あ、京都市立芸術大学ね)では最初の授業が卵の鉛筆写生、続いてクレヨンで描く地面、その後も使っていいのは墨と水干絵の具で、なかなか岩絵具を使わせてくれなかった。その分、あの絵具とは言えない鉱物のきらめきそのものを画面に乗せる喜びはひとしおだった。いきなり慣れない画材を試行錯誤しながら自身のレシピを作り上げていくやり方もいい、でもまずは筆一本という限定的な根源的な方法で力を溜め、この山形の大学の広いアトリエに来た時にその力を爆発させて欲しい。

    芸工大日本画コースは今年度から山形にある創建1278年という古刹、勝因寺さんとのプロジェクトをスタートさせる。創建750年となる2028年に向けて襖絵と天井画の制作を順次進めていく。2年生はその板絵に挑戦する。30×30僂了碍舛凌板なので家でもできるサイズだね。四季をテーマとした下絵はデータで送ってもらいこちらが添削。

    学内課題に閉じることなく、すべての課題が外部に繋がるカリキュラムが「日本画ルネサンス」。

    https://syouinji.com/project/

     

    3年生は「画像を用いて描く」という課題からスタート。入学時から「写生道」を掲げ、手で考える力を鍛え続けてきた学生たちをひっぺがす戸惑い課題がこれ!でもいつも面白い作品たちが生まれてきて、多くの学生が覚醒する課題なんです。もしかしたら今回のリモート化に一番相性がいいかも。「画像を用いてプレゼン」し「画像を用いて講評する」。作品も実作に限らず「画像データが作品です」でもいいよね。さらなる展開や単発課題などを中村ケンゴ先生と練っています。

     

    4年生は就活に教育実習など、すべてが未体験ゾーンに突入して一番不安が大きい学年かも。こちらもZOOMを通しての遠隔ゼミや面談を繰り返す。早い学生はすでに内定をもらったり、卒業制作に取り組み出したり、出品予定のコンクールが延期になったり、昼夜逆転しちゃったりと進度差が大きいのは例年通りか。

    この状況では実家の一室で描いてる学生、広い倉庫のような場所をキープした学生などなど制作環境差も大きい。2月の卒業制作展をにらんで各自の研究、制作を個別にフォローしていく。今日は河原でドローイングをしている学生が画像を送ってきてくれた。

     

    そして!この4月より小金沢智先生を東北芸工大にお迎えすることになった。学芸員枠ではなく、日本画コースに所属しているところがポイント!

    日本画コース5名の教員すべて絵描きではなく、美術史から見た自作の立ち位置の検討、文献の読み方からステイトメント、コンセプトシートの書き方、そしてさらには作品の世界への届け方まで、新たな視点で「日本画ルネサンス」を作り上げていく新メンバー小金沢智君の活躍を期待しています!

     

     

    ほんとの福音は、この状況なので散歩をすることが増えたことかな。

    一日中ディスプレイを見続けることはかなりきつい。ちょっとした時間を見つけて車を走らせ、テイアウト弁当を頬張って知らない道を歩く。新しい靴も買っちゃいました。

     

    気づかなかった山形の小さな風景に喜ぶ11回目の春です。

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