奈良⇔山形

絵描き、三瀬夏之介の日々諸々。
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「なくしたものとムカサリ絵馬と」
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     とある社会人向けのデッサン講座を担当していた時のこと。その頃、僕は東北大学附属図書館で見たムカサリ絵馬というものに夢中になっていた。ムカサリとは婚礼のことで、事故、病気などで子を失った親が、架空の人物との婚儀の様子を描いた絵馬を奉納するという風習が村山地方に伝わっている。当時の僕は描くことの意味に少し迷っていて、祈りそのものとして描かれた絵馬の存在が気になって仕方なかった。

     

     講座を受講されている方が村山地区から来られているということを知り、ムカサリ絵馬の存在を聞いたところ、なんと亡くなった娘への絵馬を描くためにこの講座に参加しているということを聞かされた。彼女は「わたしは絵心がないので、この講座を通して写真のように上手く描けるようになりたい」と僕に言った。

     

     「上手い絵」とは何だ?

     そう、ものを新たに生み出すということはもっともっと切実なものだったのではなかったか?

     これまでアートシーンと呼ばれる人工的な場所でキャリアを積み上げてきた僕にとって、衝撃と共に打ちのめされる経験だった。

     

     「ムカサリ絵馬」を「展示」することには様々な意見があるだろう。しかし今回の展覧会を通して、これからものを作り出す若い人たちにぜひ見てもらいたいという強い思いが勝った。

    僕たちの趣旨をご理解いただき、絵馬を快くお貸しいただいた久昌寺のご住職には感謝申し上げたい。

    | natsunosuke | 展覧会 | 18:03 | - | - | - | - |
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