奈良⇔山形

絵描き、三瀬夏之介の日々諸々。
サマースクール。
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    ようやく前期授業が終了しました。

    今年度は初めて大学院の集中講義「アートマネジメント論」を担当。4日間で15コマというとんでもない設定ながら、素晴らしいゲスト講師の方々との充実した時間となりました。

     

    一日目は神奈川文化財団から中野仁詞さんに来ていただき、ヴェネツィアビエンナーレをモチーフとしてリアルなお金の話しにアーティストとの恊働のお話。また大阪の文楽問題を取り上げて、芸術とは守られるべきものかという問い掛けもあった。

     

     

    2、3日目は森美術館の後藤桜子さんとART-iT編集者でアーティストの良知暁さんに来ていただき、「作品のない展覧会」をつくるためのワークショップを開催。

     

    美大にいるということは、あるメディアを選択しスキルを磨きながら専門領域を深めていくわけだけど、ここではグループワークとレクチャーによりこれまで培った技術を捨て、自身の枠組みを拡張し展覧会の開催までを行った。

     

     

    「アーティストが生きていく環境づくり」こそがアートマネジメントであるというスタンスはとても力強く、双方向に影響を受け合おうという彼らの姿勢は学生たちの共感をよんでいた。

    レクチャーやフィードバックで示される参照項のほとんどは海外のもの。現代アートにおける先行事例と自作が似ていることがけっしてマイナスなのではなく、学生たちのアイディアの芽が世界水準で共鳴する可能性の提示であり、歴史と同時代性の中でどのように磨き展開していけばいいのかという提案の数々に感動した。

     

    この二日間は常に前向きなアートの力で溢れていた。

     

     

    後半は3つのグループに別れて「作品のない展覧会」開催のための実践。

     

    「解らないということに耐える」とはあるチームから出てきた言葉。

    これまでならアドバイスを与えてしまっていたタイミングであえて「待つ」ことによりこちらの想像を超えるコレクティブワークが生まれてきた。

    現代の祭り、キャプションと作品の再考、ロールプレイによる共同体の実践などなど、二日間でこれだけできるんだね。

     

     

     

     

    そして多くの刺激で頭がパンパンな僕にもようやく制作の時間がやってきました。

    今年はお盆返上でやりますよ!

     

    希望は大きく、行動は眼の前の一歩から。

     

     

    | natsunosuke | 芸工大 | 05:04 | - | - | - | - |
    まんだら。
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      東北文化研究センターの東北文化友の会会報誌「まんだら」にて民俗学者、田口洋美先生と対談しました。
      三瀬ゼミ生、石原葉による「東北画は可能か?-地方之国構想博物館-@東京都美術館」の報告もあり。
      表紙も含めて「東北画は可能か?」一色の仕上がりとなっています。

      東文研とは山形ビエンナーレにていい連携が取れたらと模索中です〜



      | natsunosuke | 芸工大 | 20:02 | - | - | - | - |
      波及。
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        長い長いゴールデンウィークの凄まじい体験も、二つのトークイベントによってようやく整理されたような気がする。
        東北アートセンターも無事に可動を始めました。
        今はとにかく作りたくてしょうがない。

        | natsunosuke | 芸工大 | 22:11 | - | - | - | - |
        蕾。
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          4月1日付で東北芸術工科大学 大学院 研究科長の辞令をいただきました。
          その大きな責任に身が引き締まります。

          思えば、2011年に芸術文化専攻長の任を引き受けてから、震災後の東北での芸術研究の現場作りに試行錯誤の中で奔走しました。
          中国思想史研究の研究科長、白杉悦雄さん、現場での半端ない実行力のデザイン工学専攻長、宮本武典くんに大きな影響を受けながらの運営でした。まだまだやり残したことはたくさんありますが、ただ欲求に従っただけではない、地域・歴史・社会などの研究を背景に制作を進める態度は浸透したように思います。
          今年度からはセカンドステージだと思って、大学院全体を見渡しながらさらに踏ん張っていきたいと思います。

          昨今の実学志向により、美大とはいえ学生たちの進路確保は僕たちの業務の中でも大きな部分を占めています。
          芸工大は美大としては驚異的な就職率なのですが、僕自身、学部では日本画コースに所属し、ゼミ生たちの将来を案じる中で、多くの才能に溢れた学生たちが、経済的に、あるいはちょっとした勇気を持てなくて夢にかけれない姿を悔しく思うことが何度もありました。
          大学院におけるいくつかの改革によって、この思いを救えるようになれればと思います。
          実行あるのみですね。



          今年の山形の春はとても早く、月かげの桜のつぼみもパンパンです。
          今年度もよろしくお願いします〜

          | natsunosuke | 芸工大 | 18:09 | - | - | - | - |
          着火。
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            年が明けて、細々とした、ほんと細々とした仕事をこなしている内にあっという間に1月下旬…
            そんな腑抜けた僕を、山形にやってきた椹木野衣さんがガツーンと殴りつけてくれました。

            作品と批評は双子であり、批評が作家を崖っぷちまで連れて行く。
            作家はそこから見える風景を命を削りながら形作り、批評から逃れようとする。
            そんな命のやりとりのような関係に飢えていたのだと思う。
            学生たちには何が伝わっただろう。



            そんな椹木さんが東京都美術館での「東北画は可能か?-地方之国構想博物館-」についてのレビューを書いてくれました。
            タイトルはなんと『「東北画」は存在しない』。
            美術手帖 2月号 REVIEWS

            僕たちの活動は言葉にされることによって残るものとなり、その批評にさらなるレスポンスを加えていく。
            言葉の恐さも、本気でそれを扱っている存在の強さも実感。
            描きたいものはあるのだけど、描かなくてはいけないものが浮き彫りになった数日でした。


             
            | natsunosuke | 芸工大 | 20:37 | - | - | - | - |
            惜別。
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              長かった二週間の濃密な大学院レビューが終了。
              今回はこれまでで一番考えさせられることが多かったな。
              何人かはこれから一生展開し続けていけるだろう軸を掴んだような手応えを感じつつ、ある種の自閉傾向には感染力があり、それらとはもうとにかく距離をおきたい。

              現実を見つめろ。さもなければ現実に裏切られる。



              そんな数日後には、自作が大事な審判を受ける。
              こちらも作り手として、この場所から共に考え続ける。


              ヘロヘロになって家に戻ると、北澤憲昭さんから新著が届いている。
              「日本画」へのオマージュにして惜別の辞、だと!

              これを片手にしばし鄙びた温泉宿に籠ります。

              | natsunosuke | 芸工大 | 10:56 | - | - | - | - |
              review
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                山形ビエンナーレまでの日々を、志鎌康平さんの写真で綴る「みちのおく百景」。今回は盟友、宮本武典氏からの私信。

                あれからからジェットコースターのような日々の中で、多くの出会い、体験、気持ちの変遷がありました。
                山形ビエンナーレでは芸工大の7Fギャラリーにて「とうほくをひらく」と題し、仲間に自然に世界に対するレスポンスを表現したいと思います。

                →「みちのおく百景」

                そして2週間に渡った大学院レビューも終了しました。
                今回も息つく間もない勉強勉強の日々でした。

                2年前に大学院専攻長の辞令を受け、大学院を学部の延長ではない文化進展への寄与を考える教育研究機関であるという意識のもとでの日々と改革は、僕自身の制作スタンスをも変えるものでした。正直、時には絵を描くものとしては抵抗のある感覚もありました。

                今回は途中色々と考えさせられる出来事があり、言葉を紡いでいくことがつらく感じることもありましたが、作品と発表者を通して本人さえ気付かぬ可能性を読み解いたり、他領域に自身の制作、研究を開き言葉を戦わせることによって、大学院を修了しても強度をもって持続的に展開していける作家を生むためにも大事な時間なのだと思います。

                自身にも世界にもひらかれた制作者であるために。
                 
                | natsunosuke | 芸工大 | 11:24 | - | - | - | - |
                皐月。
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                  気づけばもう5月。ここから10月まで一気に走り抜ける!

                  東京では京都造形芸術大学日本画専攻の選抜展の公開講評に行ってきた。
                  しかし作品初見で話すことの難しいことよ。
                  できるだけ情を廃し、現在の課題として眺め、言葉を選んだつもり。
                  夜の飲み会では、僕の勤務先と姉妹校ながら、その意識の志向の違いが興味深かった。



                  東京では福音館書店のインタビューを受ける。僕が選んだ絵本は「ふしぎなたけのこ」と「三びきのやぎのがらがらどん」の二冊。小さな頃、何度も読み返し大きな影響を受けた。
                  今読み返してみると、「ふしぎなたけのこ」は山と海という違った価値観の橋渡しを、無垢なたろという存在や、たけのこという怪物が担っていて、世界観の拡張感覚は今美術に僕が求めているものと同じ。
                  またカラー、モノクロというページリズムや、余白の使い方と、大和絵的な色の塗り込みに運筆が絵画的にも美しい。

                  対照的に「三びきのやぎのがらがらどん」は自然の厳しいノルウェー民話だからか、欧米の自然への考え方の反映か、あまりにマッチョなクライマックスに驚く。
                  思えば橋の下のトロルが恐すぎて、ストーリー展開はすっかり忘れていたな。トロルのことをがらがらどんだと思っていたことに今回気づいた。

                  話しながら、大学1年生の夏、バイクツーリングで訪れた軽井沢で観た絵本展に影響を受けて、絵本作家になりたいと思っていたことを思い出した。いつか絵本のお仕事もしてみたいな。



                  家の近くでは大学院のゼミ生が個展をひらいていた。
                  中古レコードにCD、コーヒーやビールを飲みながら絵を眺められる空間に、奈良時代に運営に関わっていた浮遊代理店を思い出した。
                  もっと気軽な感じで、自身の住む町で展覧会をひらくといい。作品も売れていたし、がんばって作ったリーフレットはかわいかった。
                   


                  大学では山形ビエンナーレとやなぎみわさんとのプロジェクトがスタートしている。
                  一度は大雪のため断念した、やなぎみわさんの来山がついに実現。
                  講義では、卒業して作品が作れなかった時代から、初めて作品が売れた頃の話、ファイバーアートから写真、演劇へという変遷を詳しく語っていただいた。
                  現在の興味から歴史を深く読み込み、壮大なイマジネーションを練り上げながら、それを現実に落とし込むバイタリティー、さらに多くの人で作り上げるために発生するブレを、作品の深みに落とし込む度量。もう感服いたしました!
                  息の長いプロジェクトになりそうなので、共に走れることがとてもうれしいのです。
                  | natsunosuke | 芸工大 | 21:09 | - | - | - | - |
                  卯の花月。
                  0
                    今日はシトシトと降り続ける雨に、満開の桜を気にかけながら、スカイプ会議、作品梱包に、大学院の書類作成などなど。

                    今年度も担当する大学院授業「芸術文化原論」は多彩なゲストをお呼びする。
                    小金沢さん、やなぎさん、黒瀬さん、冨井さん、藤原さん、保井さん、小林さん、川延さんなどなど。
                    芸術文化専攻には美術系の領域だけでなく、工芸、保存修復などの院生もいるし、今回は映像やグラフィックの院生も履修している。
                    できるだけ多面的な方向から「芸術とは何か?そしてそれは芸術として実現されべきものか?」を問うていき、最終的には自身で価値判断できる軸のようなものを獲得してほしい。

                    イムラアートギャラリーでの個展と、奈良県美でのグループ展の準備も平行して進めている。
                    イムラでは珍しく小品も多く展示予定。会期が近くなったら一点づつ紹介しますね。
                    奈良県美では学芸員さん、ギャラリースタッフ、展示業者さんと、なんとか理想の展示形態に向けて奮闘中。
                    明後日には「東北画は可能か?」のキックオフイベントもあり。

                    目まぐるしい新年度がスタートです!

                    | natsunosuke | 芸工大 | 21:12 | - | - | - | - |
                    レビュー。
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                      長い長い2週間がようやく終わりました。
                      芸工大名物、大学院研究中間発表レビューは絵画、彫刻、工芸系の研究領域はもちろん、デザイン、建築環境、保存修復、美術教育、ビジネスなどの研究領域の発表、質疑応答、院生同士の交流が行われます。
                      僕は専攻長として司会を担当しているんだけど、領域横断の繋がりを求めて期間中は勉強の毎日でした。

                      今回は「個」と「公」の関係を新しいコミュニティー形成に求める研究、「人間」と「自然」の新たな関係を土着文化や信仰に再発見する研究、「美術」と「生活」の関係をしつらいの部分から模索していく研究などが印象に残りました。
                      その多くが現代性という横軸に、歴史性という縦軸を通し、自身の座標軸を客観的に認識した、今に訴えかける骨太の研究であったことがとてもうれしく、そして僕自身強い影響を受けました。

                      今回初めて博士学位審査にも参加させてもらったのですが、 美大の博士号って審査基準が難しい。
                      入学してすぐの院生は、まずこの時代に生きているだけで現代性を担保されていると思いがちで、思いの客観性が問われること、先行事例と自作の関係、所属領域の特殊言語が通用しないことなどにショックを受ける。絵の中で考えろだの、手で考えろなどという教員もまだいる。
                      美大の大学院まで来たんだから、ものを作り出したいという衝動を持っていることは当たり前のこととして、その作品の時代性、新規性をしっかりと語れるようになり、その考察がイメージを展開させ、イメージが考察を促すような持続的な研究者になってほしい。



                      そしてレビュー会期中には有志メンバーがオープンスタジオを開催。
                      完結した作品と15分の発表だけではなく、ドローイング、エスキース、スケッチ、画材、参考文献などのイメージソースと公開制作を見せたいという訴えがあった。
                      クリエイティブの前に何がなされるべきなのか、作品と言葉と交流を通して共有されつつあるのを感じます。
                      卒業後のリアルを語る多くのゲストもお招きして盛り上がりました。





                      そう、地域とアートを考える院生主催のセッションもありました。
                      プログラムを組むディレクター、プレイヤーとしてのアーティストだけではなく、それを受け入れる住民側という両面から組み立てられていたことがとてもよかったと思います。
                      この時代、作り手としてどうキャリアをつくっていけばいいのか、そしてそこに地域型アートプロジェクトをどのように関係付けるべきか、そしてその可能性と危険性。
                      その多くが未だ総括のないままに乱立中の地域型アートプロジェクト、その直中に飛び込もうが、距離をとろうが、語り続け共有しておかなくてはいけない問題だと思います。



                      この濃密な二週間で常に頭が覚醒を止めない。
                      さぁ僕もそろそろみんなと同じ場所から出力するよ!

                      | natsunosuke | 芸工大 | 22:10 | - | - | - | - |
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