毎年言ってますが、今年はこれまでで一番忙しくも充実していた一年でした!
まずは芸術学部長としての職責において、これまでにない視野で大学全体を眺めながら行動していく毎日でした。
単に美術大学の運営にとどまらず、この社会における芸術教育のあり方までを思いながら将来構想を検討する日々は僕の作品にも必ず影響を与えていくと思います。
展覧会では、3月にキューバでの「近くへの遠回り−日本・キューバ現代美術展」、9月の山形ビエンナーレのキュレーション、10月の有隣荘での個展がハイライト。
海外での展示はいつも僕の凝り固まった価値観をほぐしてくれる。来年の1月27日に新美術館にてキューバでお世話になったキュレーターの岡田有美子さんと「周縁から周縁へ−日本・キューバ研修+展覧会報告」と題してトークも行います。
https://domani-ten.com/event/
山形ビエンナーレの経験はとんでもないものでした。作家の自主企画レベルのものは何度もこなしてきたものの、ここまで大規模でかつ責任の重い(かつ低予算)キュレーション経験は初めてでした。
現在、アーカイブブックの制作、「現代山形考」の続編準備、そして次回のビエンナーレについてのディスカッションも始まりました。レビューも多く出たし、椹木さんには読売新聞紙上にて本年のベスト展覧会にも選んでいただきました。
地方だからこそ可能な展覧会のあり方についての大きな実践の一歩となりました。
椹木野衣 美術と時評 :山のような「修復」への問いかけ−「山形ビエンナーレ2018」
前編 https://www.art-it.asia/top/contributertop/191845 …
後編 https://www.art-it.asia/top/contributertop/194288 …
小金沢智 芸術の諸ジャンルが交わる“山のような”芸術祭。小金沢智評 「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2018」
https://bijutsutecho.com/magazine/review/18828
山形ビエンナーレと時期が重なることが分かっていた有隣荘での個展は、大原美術館の柳沢秀行さんのバックアップがないと実現できないものでした。ほんと長いスパンで活動を注視、支援してくれる存在のありがたさを感じます。浦上玉堂に対してもようやくレスポンスが返せた。年明けにテキストも発表予定です。
「三瀬夏之介」という個人クレジットで発表することと、ビエンナーレのようなデザイナー、修復士、大工らとのチーム協働における発表の距離を体感で得ることができた一年でした。
来年にはこのコレクティブチームによる発表ができると思います。名付けて「現代風神雷神考」です。

そしてあれは暑い暑い季節。オープンキャンパスを終え疲労困憊の中、嫁さんと焼肉を食いに行くぞ!と行きつけのお店に向かう線路際でのことでした。通り過ぎる列車の爆音の奥からミャーミャーと全力で泣き叫ぶ声が。大きな溝と新幹線も通る線路の間の暗がりにこの子はいました。
やせっぽちで匂いはきつく、なんでこんなところにいたのかと思う間もなく保護。
リンクスティップがピンピンの山猫気質のキジトラちゃんは、線路のそばにいたのでテツと名付けました。
これからもよろしくね。

さて、来年は「21st DOMANI・明日展」からスタート!
おそらくこれまでで最大サイズの作品となります。サブタイトルの「平成の終わりに」の通り、あの大空間にこの日本の自画像を現出させます。
「未来を担う美術家たち 21st DOMANI・明日展 文化庁新進芸術家海外研修制度の成果」
2019年1月23日(水)〜2019年3月3日(日)
@国立新美術館 企画展示室 2E
4月には満を持して佐藤美術館で「TOHOKU CALLING」を開催予定、7月にはシンガポールでの展示、11月にはようやく福音館書店からの絵本「おにの神さん」が発刊予定です!
今年は雪の少ない山形からのんびりとお送りしました。
良いお年をお迎えください〜
三瀬夏之介